十 伝説の山 (2)
炎の中で燃え尽きた母、殆ど時間をかんじさ
せることなく白い粉と貸していた母であった。
まるで軽石を拾うような感覚で、死んでもな
お、壊れそうな骨を少しばかり骨壺へ納めた。
母はマーペー女のように身を石にしてその悲
しみや無念さを訴えることはない。しかし母
は、私の心の中で、石のような感覚でよどん
でいる。)
眼前に迫った野底マーペーが、灰緑色ににじ
んでいった。暗雲はすでに低くたれ込め、や
がてそれは、自らを支えル力を失い、大粒の
雨を吐き出した。伸夫は、この天の飛沫を体
一杯に受けてデッキに佇んでいた。雲が少し
ずつ白んでいった。
操舵室から、下村船長の太い呼び声がする。
伸夫は、雨でぬめった手すりを注意深く握り
しめながら操舵室に入った。
「何を、ぼーっとしとるんだ、雨に濡れて。
君子のことでも考えてるのか」
「いえ・・・・・」
「なら、いいが。もうそろそろ夕飯だ。着替
えでもしてゆっくりしなさい」
「・・・船長。海、きょう荒れるんですかね
え」
「どうしてだね。そうだなあ、前線が今晩あ
たり通過するとき、きっと、大荒れだよ」
「海が荒れて、時化がひどいとき、船長、平
気ですか」
「何が平気なもんか。いつも祈るような気持
ちだねえ。若いときは、そうではなかったん
だが」
「若いときは、どうだったんですか」
「そうだなあ、大自然を前にして、この状況
を克服したいと考えていたよ。だから、自分
に頑張れ、頑張れ、乗り切れ乗り切れと挑戦的
だったなあ」
「今はどうなんですか」
「いまかい。そうだなあ。はっきり説明でき
んが、船に励まし言葉をかけているような気が
する。船と波がひとつになって、自然の流れで
航行しているような気がするんだ。そう、思
いはだいぶ変わった。船と自分がひとつのよ
うな気がする・・・」
船長は、目を細くしてなにかを思い出す風であ
った。私は、黙ってそこを離れ船長室に入り着
替えをした。
船長室の窓を開けて、外を見た。船は漆黒の闇
の中を航行していた。島影はいつの間にか闇に
溶けていた。舳先が波を切り裂いて鳴動してい
る。強い潮風が、マストにせかれて、重い唸り声
をあげていた。船舷から漏れる 淡い光に泡立
つ波が反射しながら、深い闇の中へと足早にさ
て去って行った。時折、青白い光の群れが船舷
を駆け抜けた。海ほたるの群れであった。
小説「旅立ち」 了
* ご愛読大変ありがとうございました。
次からは小説「闇と海と」を搭載します。
[PR]一段落ついてほっとした。エスプレッソを飲もう。・・・
仕事に遊びに忙しい毎日です。家にいる時、ゆっくりしたいと思うのは、私だけでしょうか。ゆったりとした自分の時間を過ごしたいですよね。 蒸気部分のボイラーと抽出部分のボイラーがデバイスされたこの商品、エスプレッソマシン「PD-1」を使えば、いつでも、コーヒー専門店で淹れてもらった本格的なエスプレッソやカフェ・レギュラーが簡単に楽しめます。毎日おいしいコーヒーを味わうことができるのです。コーヒー抽出の新らしい形ですね。 これは、カフェポッドという、一杯一杯のエスプレッソコーヒーを丸く平たいパックに詰めたものらしいですよ。是非、試してみてください。
↓話題のセサミンなど、いろいろなサプリメントが有ります。画像をクリックして、「商品ラインナップ」を開いてください。
(健康食品、サプリメント類)
マルチ ビタミン&ミネラル

←中山式快癒器。



